第5章 ラクスド
「…さや!頑張れ」
『ミツヒデー…いい酒期待してるー…』
「飛びっきりの用意するよ」
「オビを見失わないようにね」
『ありがとう木々…頑張るー…』
道中途中まで白雪が同行する事になったので
オビと白雪をまだ会わせる訳にもいかないと
オビは一足先にラクスドへ
ゼン達はその1時間後に出発の予定だ
そのオビの監視役に今回私が選ばれてしまったのだった
オビと一緒は確かに嬉しい
最近はオビと普通に話せるようになっていたし
オビの体を動かしたい気持ちもわかる
けど、オビのあのスピードに
足場の悪い森の中を馬で追いつかなきゃいけないとは
(気が滅入るよ…)
2人にがしがしと頭を撫で回され
落ち込んでいた気持ちを浮上させる
『よしっ!頑張ってくる』
「大丈夫だってーそんな飛ばさないから」
『いやむしろここまできたら飛ばして全力で』
そう言って笑うとさやは
自分の馬に飛び乗った
オビもつられて笑うとゼン達に一礼して
2人は走り出した
ゼン達は凄いスピードで走り去る2人の姿を
苦笑いしながら見送った
「あれじゃあさやの馬はすぐバテるぞ」
「あの二人大丈夫かな」
「まあなんだかんだ
あの二人はいいコンビになると思うぞ
だから、大丈夫だろ」
3人はオビとさやの姿が見えなくなるまで
見送った後、自分達もラクスドへ行く為準備を開始したのだった
王城からしばらく馬で走って
城下町を抜け、街道から逸れた森の中
もう2時間はぶっ通しで走ってる
それでも尚少し先を行くオビのスピードは落ちない
(馬鹿げた体力だね
私も、もっと鍛えないと)
森の影に隠れてしまうオビを
馬の私は見つけ出すのに精一杯だ
「よっと」
『っ…びっくりした
どうしたのオビ』
突然私の後ろに飛び乗って来たオビに
一瞬バランスを崩しかける
だが、馬が踏ん張ってくれたおかげで
どうにか体制を立て直したが
どうやらお馬さんはご機嫌ななめのようだ