第5章 ラクスド
白雪の薬剤師試験も無事終わり
暫くして白雪は城の中の宿舎へ移ってきた
結局、薬剤師試験の時は
2日にかけての試験のせいで
白雪の顔を見る事は出来なかったけど
白雪の引越しを手伝う際に
沢山試験の話や街の話をしてくれた
目をキラキラさせて話す白雪は
これからの仕事に心の底から喜んでいるようだった
薬剤師試験の日
白雪と一緒に薬草園に閉じ込められたゼンは
執務室に帰ってからミツヒデに呆れ顔をされていたが
まあ何はともあれ白雪が無事
宮廷付き薬剤師見習いになれたのだから
本当に良かったと思う
「これでやっとさやに並べたね」
そう言って笑った白雪の顔は
とても輝いていて
私も負けていられないなと気合いを新たに
始まる物語に備えて準備を進めた
*
「さや悪いな。」
『そう思ってるならご褒美期待してるから』
晴れ渡る空
早朝だからか、鳥たちが多く飛び立っている気がする
流れる雲も淀みなく
視察に行くには絶好の天気だ
さやは、はあと大きなため息をついて
自分の馬の手網を握りしめた
「あははー
そんなに嫌な顔しなくてもいいじゃないですかさや嬢」
『だってオビ…走っていくんでしょ?
私貴方に付き合って
森の中を馬で走んなきゃいけないんだよ…』
軽装で荷物という荷物も持たず
けらけらと笑って準備運動するオビにさやはため息をまた1つついた
見送りの為詩人の門に顔を出した
ゼン、ミツヒデ、木々も気の毒そうにさやを見つめる
今日はラクスドへの視察の日
やはりラクスドからの定期連絡は来ず
こちらから使者を1名送ったものの
その使者すら帰ってこなかった為
これからラクスドの砦へゼン達と向かうのだが