第4章 オビの監視
夕方になる前には2人で城に戻って
少しの間ミツヒデにオビ番を交代してもらい
ゼンの執務を手伝った
オビが作ってくれたサンドイッチが
これが中々美味しくて
本当はもうちょっと早くに
執務室に戻る予定だったんだけど
レシピやらなんやら聞いている内に
少し遅れてしまった
『(あー…本当に美味しかったなー)』
幸せな時間を噛み締め
執務に必要な書類を本棚から取り出す
ゼンはそんなさやの様子を
後ろから怪訝そうな顔で、じっと見つめていた
オビ番のさやが帰ってきて
流石に男湯に着いていけないさやが
ミツヒデと交代して
木々が頼んだ仕事で部屋を出てから
何となくさやの様子がおかしい気がする
オビ番が終わった後は
いつもならぐったりとしていて
頬をのばしたり膨らましたり
顔の体操をやってから執務に戻るのだが
今日は疲れた様子も体操もなしだ
『♪〜♪〜♪♪〜』
鼻歌まで歌ってにこにこした顔で
こんなに楽しそうに仕事をするさやはいつぶりだろうか
城に顔を出した白雪が
さやの好物を持って執務室に現れた時以来か…
オビと何かあったのか…?
うーんと思い悩むゼンと
振り向いたさやの目が合う
『…ゼン?どうしたの?
そんなじっと見られると…』
「…見られると?」
『イタズラしたくなる』
にまにまと笑いながら
手を珍妙な動きをさせ、ゼンに近付いていくさや
ゼンは顔を引き攣らせながら
ストップとさやを手で制した
『ちぇ。でも本当にどうしたの?
悩み事なら話してみて』
「いや、大した事じゃない
…さや、オビと何かあったか?」
*一部変更しました