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【オビ】追い続ける【赤髪の白雪姫】

第4章 オビの監視










オビはそっとさやを花畑に降ろすと

頭の後ろで腕を組み、花畑を見渡した






赤や黄色、白、青



それぞれの花が存在を主張するように


花を開き、甘い香りを運んでくる




開けた場所を全て埋め尽くす花達


まるで別世界だ



空から降りる天使の梯子が
幻想的な空間を助長している



さやは
足元に咲く花に目を取られしゃがみ込んだ




あ、この赤い花ユラシグレだ



真っ赤な花にそっと触れると

優しく、1輪摘んだ



特徴的な形と色だし
きっとそうだと思うな



(部屋に飾ろうか
リュウにあげるのもいいかもしれない)





ゼンの側近になってから
何度か顔を合わせているリュウを思い浮かべる


確か、リュウはユラシグレが好きなはずだ





「へぇー真っ赤な花だね。珍しいのかい?」



『いやそんな事はないよ
薬草園にもあったはず

ただ、赤が好きなの』




不思議そうに覗き込むオビに



ユラシグレをそっと見せると

そうなんだとオビは花を見つめ、微笑んだ




この赤を見て誰かを思い出すかな


私は思い出す、白雪を





表情を窺うように
花からそっと目線を上げると






オビの瞳の奥が
裏稼業をしていたなんて思えない程




穏やかで、優しい色をしていて



やっぱり好きだなぁなんて



思っちゃうのは仕方ないよね





その柔らかい表情につられて

さやも思わず顔が緩んだ




「あ、笑った…」


『っぁ…いいでしょー別に』


「…俺も、いいと思うよ。
さや嬢は笑った方が年相応って感じだ」




ふと目を上げたオビが
私の顔を見て、一瞬驚いた様に目を開いて

愉しげにけらけらと笑った




またからかわれているっていうのに


顔が優しいから、嬉しくって




顔が緩むのもからからわれるのも


たまには、まあいいかと







2人でいつまでも笑っていた










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