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【オビ】追い続ける【赤髪の白雪姫】

第4章 オビの監視








『だから登れないの!
いいから早く行ってよ!走って追いつける!』




「ぶっは!はっははは!
た、高い所がっくく…怖いなんて!

さや嬢意外に女の子ですね!くっくく」




走る準備の為
屈伸し始めたさやに


オビは涙まで浮かべてひーひー笑い出した



枝から落ちそうな程笑うオビに

イラついて小石を拾えば、オビの足元目掛けて


丁度あの時のように

素早く投げつけた




「っおっと!やー、面白いですねぇ」


『次笑ったら顔に当てる』




軽々と降りてきたオビに

反対の手のひらに持っていた小石を
利き手に移すと、それを投げるポーズで脅す


それは勘弁と両手を上げるオビは


さやが手を下ろすと


素早くさやに近付き、膝裏と腰に両手を差し込んだ



拒否する間もなく



視界が反転する


オビが私を抱き上げたんだ




『ちょ、何するの!
待って!本当に怖いの!』


「大丈夫だってー
しっかり掴まってなよ」



オビは軽々さやを抱き上げたまま
木の枝に飛び乗った


高くなる視界に



恐ろしくて思わずオビの首に手を回し

しがみつく



別にトラウマがある訳じゃない


けど何でか昔から高い所はダメなのだ





ビュンビュンと景色が流れていく


本当に早いなオビは
まるで野生の獣だ




固く瞑っていた目を薄らと開き


自分を抱き上げるオビの顔を見上げた





前を見つめる金色の目
横顔だけがさやからは見えた




恐怖なんて吹き飛んでしまうくらい


カッコよくて



思わず見惚れた横顔と体に伝わる温もりが
今私はオビの腕の中にいるのだと

強く訴えてくる




触れる手が嬉しくて

綻びそうになる顔をやっとの事で抑えた




「おっ、いいとこ発見!」




オビの声を聞いてオビの見る先を見ると



鮮やかな花達が陽の光に照らされて

咲き誇る開けた場所が広がっていた




さやはあまりの鮮やかさに

オビの腕の中だと言うことも忘れて




その、美しさに目を奪われた





『綺麗…』



「確かに凄いねここは」



『これ全部薬草だ』



「よく知ってるね」




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