第4章 オビの監視
『遅かったね。それどうしたの?』
「さや嬢、今日はピクニックしましょう!」
『はぁ?』
持ってきた包みは食堂で余ったものを使った
サンドイッチらしく
オビはにこにこしながら
さやの手を引き、食堂を出た
『ピクニックってどこに?』
「城の奥にある、あの森ですよ」
『ああ…あそこね』
確かにあの森にはオビは入った事がないはず
白雪とゼンが誓い合うあの場所
まだ見ぬ苦い場面を思い出して
握られた手に思わず力を込める
私の手はこんなにやすやすと握るくせに
白雪のは、握れないのよね
さやの様子に気付いたオビが
足を止め、振り返る
「どうしました?」
『……。何でもない
っあ、あそこ行くなら兵の訓練に使ってないか
確かめないと』
「あそこでも訓練があるんですか
衛兵ってのも大変なんですねぇ」
何事もないように自然にオビの手を離す
誰に聞こうかと
近くをキョロキョロ探すと
丁度近くを衛兵が通りがかった
オビから離れ、衛兵に駆け寄る
『おはよう。昨日は体調大丈夫だった?』
「さや殿!
ええ、あれくらいでへこたれる私ではありません」
『ふふっそっか。頼もしいね
今日は森に訓練入るのかな?』
少し雑談も交えながら
森に入っても大丈夫か聞くと
運良く今日は森には訓練の予定はないようだ
さやは顔見知りの衛兵に
また飲もうと言い残して、手を振った
手が熱い
白雪がゼンにキスされる時も
こんなに熱くなるのだろうか
頭を振り、邪念を払う
ダメだなオビといると
嬉しくて、苦しい
廊下の端に寄りかかり
さやが聞き終わるのを待っていたオビの方に駆ける
『お待たせ
今日は森は使わないみたいだから
入って大丈夫』
「そうですか
それにしても
さや嬢は色々な方と仲がいいんですねぇ」
『んー?兵士くらいだよ
やっぱり宿舎が一緒だからね』
森に向かう為オビと並んで歩く