第4章 オビの監視
テーブルに朝食を置いた時
オビがこちらをじっと見ているのに気付いた
『なに?』
「さや嬢って
やけに俺に冷たくない?やっぱり俺嫌われてる?」
探る様に瞳を覗き込んでくるオビ
だからそういうのをやめて欲しいんだってば!
初めて会った日
キスをされてから
オビの顔を直視する事が出来ない
もちろんそんな事がなくても
オビに会ったらどうしても緊張してしまうとは思うんだけど
正直、名前を呼ぶのだって
精一杯だ
『…警戒してるだけ』
「ふーん…」
さやがオビと距離をとるように下がると
オビは律儀にいただきますと
手を合わせて朝食を食べ出した
オビはオビで面白くないのか
少し不機嫌そうだ
「…まああんな事すれば
警戒されて当然か」
『っ……!』
ぽつりと零した言葉に身を固める
この野郎わざとだ
意地悪が成功した子供みたいに
にまにまとこちらの様子を伺ってくる
『…何の事?
無駄口叩くなら今日は外には連れていかない』
「あー!嘘嘘!冗談だって!」
無表情にオビを睨みつければ
焦ったオビが朝食をかきこむ
まあ外に出られないとなれば
こんな小さな部屋でやる事なんか
ほとんどない
退屈しのぎには外に出るしかないのだ
ご馳走様でしたと
綺麗に完食したオビが皿を持ち立ち上がる
「さぁさや嬢!行きましょう!」
『はいはい』
両手が塞がっているオビの為に
扉を開けて、1歩下がる
部屋を出たオビは音符が着いてきそうなほど
ご機嫌で。
さっきの不機嫌はどこへ行ったのやらと
さやはため息を吐いた
食堂に寄って食器を返した後
さあ今日はどこに行こうかと考える
部外者のオビが行けるとこは限られているし
私は城下には連れて行けない
また剣の手合わせでもするかな
そんな事を考えながら
食堂の椅子に腰掛け、紅茶を飲んでいると
厨房の方に行って中々帰って来なかったオビが
何やら包みを持って現れた