第4章 オビの監視
私は今、先程命令されたように
オビの自室へ向かって歩いている
オビの監視はミツヒデ、木々、私
3交代制で毎日誰かが顔を出す
朝、昼、晩と食事を運び
適切な運動の為城内を散策したり
剣を振るったりする
最近では
こちらに用事がある時一緒に城下へ出たりもするらしい
もっとも、オビに1勝4敗中の私は
2人で出掛けた事はないけれど
ミツヒデはたまにあるみたいだ
着々と信頼関係を築いているらしい
『おはよう』
「「おはようございますさや殿」」
『朝食を持ってきたよ
手がふさがっているから開けてくれる?』
オビの部屋の前に着き
部屋の前を警護している衛兵に声を掛ける
その衛兵2人は
一昨日から昨日にかけて行われた宴会に
参加していた2人だが
プライベートで会っている時以外は
ゼンの側近のさやにも敬語を忘れない
昨日まで一緒に大笑いをしていた2人に
真面目な顔で敬礼される事に笑いが込み上げ
顔を緩ませていると
コツンと脇腹をこずかれた
『ふふっ…また宴会しようね』
「はっ!さや殿のお誘いとあれば
お断りする訳にはいきませんな!」
『よく言うよ。散々私に絡んできた輩が』
お静かにと笑われながら衛兵にドアを開けて貰い
朝食の乗ったプレートを慎重に持ち直し
オビの部屋に入る
『オビ、おはよう。朝食持ってきた』
「おはようさや嬢
なんだか凄く楽しそうだったね」
オビは手入れしていたクナイをくるくると回して
サイドバックへしまった
そういうのまで一々カッコイイのは
やめて欲しい
心臓爆発するから
顔には一切出さずそんな事を考えながら
ずんずんとオビの部屋の中に進んでいく
オビはそんなさやを目で追っていた
(あれからさや嬢は至って普通だ
半ば無理矢理キスした事を
主にも言ってないみたいだし
こうやって部屋にも何事もなく入ってくる)
外で話していた衛兵達との会話を思い出す
あの人らの前では
女性としてむしろフレンドリーに話していたように感じる
気になるのは
未だ俺の前では少しも笑わないってとこか