第3章 巳早からのオビ
驚いて目を開けると
こちらも驚いた顔のオビが
至近距離で
さやを見つめていた
もう充分赤かったはずの顔が
オビに伝わりそうな程、燃え上がる
オビは一瞬自分の状況を理解出来ず固まった
バランスを崩された
転ばせて走り去ろうと思っていたのに
お姉さん意外と力が強いもんだから
油断して巻き込まれた
倒れていく時ぶつかりそうだったから
咄嗟に両手を付いたら
丁度、その位置だった訳で
やっちゃった…?
いやでもこれ俺悪くないでしょ…!
受け止めるように背中に回された両手が
今も離れない
こんなに気の強いお姉さんなら
今頃、蹴っ飛ばされても可笑しくないってのに
オビはさやの今までの反応を思い出し
何かを悟ったように意地悪く笑った
「(ははーん
このお姉さん相当俺の顔が好みみたいだねー
じゃあまあここは
キザでクズな男でも演じて
腰抜かしてるとこ、退散させてもらうとしますか)」
いつまで経っても退かないオビに
どうしたらいいかと頭を働かせるさや
離すべき?
いやいや離すべきでしょうよ
オビはなんで逃げないの?
え、何なのこれ?なんて言うラッキースケベ?
自分の腕がしっかりオビを抱き締めているから
離れられないのだと言うことに
テンパりすぎて気付かないさや
憧れのオビとキス
おもったより柔らかくて
私より少し薄くて
ゆっくりとオビの目が閉じらていく
近すぎる金色が
綺麗な瞼で覆い隠される
空から降り注ぐ光が、オビの髪に触れて
目を閉じたオビを美しく際立てる
『(なんて綺麗なんだろう…
目を閉じててもこんなにかっこいいと思うのは
私がオビに惚れてるから…?)』
オビの顔に見惚れていると
突然ぬるりとした感触と共に
唇よりも熱を持ったものが、口内に入り込んできた
『ん!?んんっ!!』
器用に絡ませ
いやらしく私の弱い所を探すそれ
オビの舌だと気付いた時には
もうどうしようもなく気持ちよくて
目を閉じる事も忘れたまま
与えられる感触に翻弄されていた