第3章 巳早からのオビ
「えぇ!?」
「今後白雪殿を通すな!?急になぜ?」
門番が大きな驚きの声を上げる
今しがたまでそんな話は出ていなかった
今朝白雪殿を客人として招き入れたばかりだと言うのに
初めて聞く話と
初顔の伝令役に疑いと共に怒りが沸き起こる門番
「白雪殿はゼン殿下直々に客人として許可されているんだぞ!」
「それは取り消された」
「なっ…!」
「殿下より伝令だ
白雪の扱いに臣下より非難の声が上がったため
これまで与えていた入場の許しは2度と無いものとする
以上、ご決断された殿下のご心痛、お察しするようお願いする」
伝令書を広げ、門番に見せつける男
その伝令書は確かに殿下のもので
門番達はやりきれない思いを噛み締め、顔を伏せる
「では」
「おい待ってくれ
ならば殿下にお伝えしなくては
今し方、白雪殿をお通ししたばかりだと」
門番達に軽く頭を下げ
立ち去ろうとする男に1人の門番が声をかける
驚いた男に
本を忘れたと言ってと事情を説明すると
男はゼンの部屋の方へと顔を向ける
そこには
白雪が扉を開け、中に入るのが見えた
(聞かれたかっ…!)
白雪の姿を見た男は走り去り
木を伝って予定の場所まで向かった
『意外と見つからなかったなー
よかったよかった
さあ場所は検討ついてるし
私も移動しようかな』
一連の流れを上から覗いていたさや
オビがどの木を伝っていったか確認すると
空き部屋を飛び出した
散々散策して木の位置も
アニメでオビが矢を射た場所も把握済み
私が高い所がダメなのが唯一の欠点だけど
その為の対策もしてきた
『あ、居た』
オビの目に入らないよう走っていると
白雪が塔の螺旋階段を上がっていくのが見えた
オビは確か私の左側の屋上にいるはず
さっと城の壁に身を寄せる
白雪は見えるがオビの姿は確認出来ない
すると
白雪の前に1本の矢が放たれた
その矢は白雪の行く道を遮るように突き刺さり
白雪は一旦足を止めた