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【オビ】追い続ける【赤髪の白雪姫】

第3章 巳早からのオビ







『何の本を読んでるの?』


「薬草の本。
さやには向かないと思うけど
読んでみる?」


『…いやいいや』



白雪は本を差し出してくるが
さやは興味を無くしたように視線を逸らし
クッキーをつまんだ


さやは昔から勉強より剣だもんねーと
若干小馬鹿にされるが


だって仕方ないじゃないか

ゼンに仕えると決めていたんだから


爵位のない私は剣を極めるしかなかった




「あれ、ゼン寝てるのか?」


『ミツヒデ、もう休憩はいいの?』


「ああ!久しぶりにゆっくりしたよ」



廊下を歩いてきたミツヒデが
ほっとした顔でゼンの寝顔を見つめる

ミツヒデも木々もゼンに付き合って
遅くまで資料室に篭っていたりしたから

本当に久しぶりにゆっくりしたのだろう

顔から疲れが消えている




「白雪、そろそろ帰るか?」


「あ、はい。
じゃあもう帰ろうかな」


『私が門まで送っていくよ
ミツヒデはまだ休んでて』



ゼンが寝てる内にと付け足すと
ミツヒデは困ったように笑いながら
わかったと言ってくれた


白雪の支度が終わると2人で立ち上がり

門を目指す



「さやって城ではどんな感じなの?」


『ん?あまり変わらないよ
木々にはさやは疲れると
ゼンやミツヒデに甘える傾向があるって言われるけど』



なんかお兄ちゃんが2人も出来た気分

そう言うと白雪は
ゼンが聞いたらなんて言うだろうと
くすくす笑った


あー…今日、だよな

白雪がこのタイミングで城に来て
さっきソファの上に本を忘れていくのを見た



完全に、あの日だ


待ち望んだ今日



オビが、城にいる




そんな事ばかり考えていたら
白雪の話に適当な相槌をうっていたようで

白雪に聞いてるの?と怒られてしまった



『ごめんごめん』


「さや元気ないね
何か悩み事でもあるの?」



ふっと息がつまる
白雪に何て言えばいい?



憧れの人が今から貴女を狙いに出てくるの?




そんな事言える訳がない



そもそも裏社会とも繋がりのない

本人には会った事もない私が




オビを好き、だなんて



前世の記憶の事を知らない白雪に

それこそ…言える訳がない









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