第1章 生まれと出会い
ドンッ -----------
私の記憶はそこまでだった
ゆっくりと流れる景色
凄く痛かった気がする
いや、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!
「…ちゃん?…お…ちゃんっ…お姉ちゃん!」
「……っあ、なに白雪…」
妹に揺さぶられてハッとした
世界は変わらず煌めいている
胸に手を当てると
ドキドキと鼓動が張り裂けそうなぐらい強くうっていた
呼吸を落ち着けようとするも
荒くなるばかりで、中々落ち着かない
「お姉ちゃん大丈夫?…お姉ちゃんっ!?」
「はあはあ…っはあ…だ、大丈夫っ」
息の吸い過ぎでか
頭が真っ白になってきた
視界も、白く…なって…
ぐらりと揺れる体がバランスを保てなくなり
大きな音を立てて倒れた
「き、きゃー!おばあちゃーん!」
*
5歳の頃、そんな事があってから
白雪は私の過呼吸がきっかけで薬剤師となり
私はあの後すぐにおばあちゃんに頼み込み
剣術指南所へ通いだした
まあ、3年もすると相手がいなくなって
色々な指南所に道場破りのような事をして回ったが
「さやー!起きてー」
「…白雪…ふぁぁっ…おはよう」
白雪 19歳
いつも私を叩き起す可愛い可愛い妹
前世を思い出してから
より愛情が深まったと思う
何故私が"赤髪の白雪姫"へ転生したのか
何故物語にはない白雪の姉が生まれたのか
わからないことばかりだが
これも神様がくれたチャンスだと
開き直って
私は白雪の傍にいる為
愛しいあの人へ会う為
今日も、剣の腕を磨く
「起きたら顔洗って、着替えてきて!
朝ごはん冷めちゃうから早めにお願いね」
「うん、ありがとう」
いつの間にか自分よりお姉さんらしくなった白雪に
苦笑いを浮かべながら、言われた通り洗面台に向かう