第1章 生まれと出会い
唐突に思い出した
その日は暖かな日差しが差し込む
心地のよい日だった
空を自由に飛ぶ鳥達
窓から降り注ぐ光の雨
それに照らされキラキラと輝く
妹の真っ赤な髪
何もかも輝いてみえて
妹の髪を梳く手が思わず止まる
その記憶はふわり、風に靡くカーテンのように
姿を現し、私になにかを伝えた
私の全て
私の生い立ち
私の ------------ 前世
*
私の最期の日
私は大好きなアニメのDVDを買って
物凄く浮かれていた
最近仕事が忙しかったし
久しぶりの休みはこれ見て癒されるぞー
これからの楽しみに微笑みが抑えられず
すれ違う人に怪訝な顔をされながらも
帰り道を急いだ
"赤髪の白雪姫"
前から見ていたアニメがとても面白くて
少しだが漫画も買ってしまった
ついでにアニメの方のDVDも
視聴率に関係ない私は
少しでも制作会社へ貢献し、是非続きをと
そんな思いで
通過列車が通りますお気を付け下さい --------
駅まで買った袋を大事に大事に抱えてきた
今日はちょっと晩酌でもしながら
DVDを見て
漫画は明日だなー
「…ふふっオビ大好き」
可笑しいと言われるだろうが
アニメの中の男の人に、恋をしていた
夢溢れる物語の中で
何があっても自分を曲げない登場人物達
熱い、目をしたあの人に
私は心奪われてしまった
「こんなんだから最近彼氏も出来ないんだよねー…」
周りはアニメばかりみてる私に呆れ顔
もう合コンなんて久方行ってないし
仕方ないのかも知れないけど
それでもいいんだ
私は今オビが好きで、恋してるから
ぎゅっと強く漫画を抱き締める
「オビ…」
ああ…早く貴方の声が聞きたい