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【オビ】追い続ける【赤髪の白雪姫】

第2章 ラジ王子








それを聞いたミツヒデと木々が
ゼンの後ろへ立つ


もう後は見ているだけでいい

ここからは私の入る隙間はない



ゼンが高らかに自分の身分を明かすと
さやはほっとして肩の力を抜いた




「今回のお前の愚行、公にされたくなければ

二度と白雪に関わる事も
その口で白雪の名を呼ぶ事も

あの桃色の髪に触れる事もしないと誓え!」




ゼンがそう言うと
ラジはぽかんとした様子で
何故白雪殿…?それに髪?と呟いていた



叫ばれた本人も呆気にとられ
ゼンを見つめている


何故ここで私の髪が入るのか?

私が挑発したから、触れたに過ぎないのに



ゼンに剣を突きつけられ

慌てて誓うラジと
その背中を見て思わず笑みが溢れた



なんてお人好しな人なんだ

名も知らないただ白雪の姉だと言うのに
自分の薬の代わりに嫌々触れられた事に

こんなにも怒り、悲しんでくれる











話し合いが終わり
薬をゼンに渡したラジが何処かに引っ込むと

薬を飲み干すゼンの前に白雪は正座でその様子を見つめた




「力を貸してくれてありがとう

けど、ごめんなさい
私はゼンの毒にしかならなかった…」


「それは笑うところか?
俺が口にした毒りんごと、お前が赤だからとかそう言う?」




白雪はなんか違うと呟き
どうしたら伝わるかと俯いた

さやは白雪の肩に手を置き
隣に同じように正座した




『私からもごめんなさい
そしてありがとうゼン』


「お前に関してはまず俺に名を名乗れ!

ミツヒデや木々はもう知っているようだが
俺はまだ名前すら聞いてない」



白雪とさやは
2人で顔を見合わせる

だからあんなカッコつかないセリフになったんだと
ブツブツ文句を言うゼンに

段々笑いが込み上げてきた




『ふふっあっははは!』


「さや笑いすぎ」


『ひー!あははっ!…木々ごめんだって…!

ふふふっゼンカッコつけたかったの!?
出来なくて、拗ねてるの?…っははは!』




さやは腹を抱えて大笑い
白雪も木々も困ったようにさやをみていた

ゼンは不機嫌そうにさやを睨みつける


ひとしきり笑い終わるとさやは
ゼンの澄んだ青い瞳を見つめた







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