第2章 ラジ王子
ラジは演技臭い仕草で椅子に腰掛けると
悩ましげな顔でまったく…と呟いた
「おかげで私の評判が地に落ちかねない
だが、君を罪人とすれば噂が事実だと認めるようなもの
そこで、だ」
パチン指を鳴らしその指を白雪に向ける
白雪はラジが何を考えているのか
探るようにその一連の動作をただ見つめていた
「私の名誉挽回の為
そちらから私の愛妾になりたいと申し出て貰う
ただの町娘とはいえ女性に恥をかかせたくないと
私が胸を痛め受け入れ、解決だ」
「なっ…!?」
『(馬鹿らしい…
どうしてそんな事をこんなにも自信満々に話せるのか)』
「…っそれよりも薬を!
友人への薬を頂けないでしょうかラジ王子!」
さやは一歩下がった所で
2人の様子を見つめる
懸命な白雪をあしらうラジ
白雪の焦りや不安が伝わってくる
まだ、ゼンは来ないの…?
段々とさやにも不安が募る
生で感じる空気感
直に感じたゼンの苦しさ
白雪の必死さ
何も出来ない自分に、焦るしかないのか
「ああ!そうだったな!
白雪殿が首を縦に振ればすぐさま届けさせよう
それとも
こちらをお見舞いに届けさせようか?」
ラジが机の上に置いてあるフルーツバスケットから
真っ赤な林檎を1つ白雪に差し出す
受け取られる事のない林檎は
ラジの手から滑り ----- 床へ落ちる
ゼンは、まだ…?
やっぱり異端(わたし)がいるせいで
何が変わって……っ
バンッ ------
今まで何も言わず黙って控えていたさやが
強く机に手を叩きつける
「っ…!?」
『ラジ王子、それはなりません』
「な、な、何をする!」
『白雪は私の大切な妹です
好きな人以外に嫁がせる気はありません』
キッパリとそう言い放つさやに
白雪もラジも呆けた顔でたださやを見入る
『…もし、ラジ王子が
私の桃色を気に入って頂けるのであれば
私が何処へでもラジ王子のお供を致します
宜しければ、今晩ベッドへでも』