第2章 ラジ王子
[分かりづらいかと思いますので
主人公だけカッコを変えます]
いつの間にか階段から覗いていたミツヒデに
からかうように声をかけられ、むせ込むゼン
引っ込んでろ!と怒鳴るゼンを
意にも返さないミツヒデはやれやれといった感じだ
『白雪、まだこれからだよ
諦める時じゃない。私がいるでしょ?』
「さや…ごめん
巻き込まれたさやが諦めてないのに
私が挫けてちゃ、ダメだよね」
『さすが私の妹。
大丈夫、ちゃんと私が護るよ』
前を向いた白雪を誇らしげな気持ちで
強く抱き締めた
大丈夫
この子は私がいても変わらない
力強い足取りでゼンに歩み寄る白雪
ミツヒデも木々もただその様子を眺めていた
「ゼン、馬鹿な事言った。ごめん」
「っ…!…白雪、お前はその林檎食べるな…
ミツヒデ、木々…っ…
おこ、るなよ…」
ゼンは白雪の言葉を聞き終わると
ゆっくりと苦しそうに倒れていった
駆け出すミツヒデと木々
1歩早く白雪の傍にいたさやが
床に倒れる前のゼンに手を差し伸べ
既のところで抱き止めた
『ゼンっ!大丈夫!?』
「ゼン!ゼン!」
「…!…これ、毒だ!」
さやの腕の中で
苦しそうに息をするゼンにミツヒデは焦り呼び掛ける
白雪はゼンが口にした林檎の皮の部分を
近場の布に擦り付けるとその匂いを嗅いだ
毒独特の異臭がするのか
すぐに毒だと判断した白雪は鞄の中を探り出す
「解毒は!?」
「ちょっと待ってくださいっ
……これだけじゃあ調合出来ないっ…」
白雪の言葉に胸が苦しくなる
必要な事だと分かっていても
目の前で苦しむゼンは、今ここに生きている
アニメの中じゃ、ない…
(私が口にすればよかった…
いや、それじゃあ物語を崩してしまう…)
「おや、林檎を口にされたのは
白雪殿かさや殿ではなかったか」