第2章 ラジ王子
「じゃあさやは俺の3個下か」
「私と同い年だね」
「そうなんだ。
とても綺麗だから年上に見えたよ
木々って呼んでも?」
「ええ、構わないよ」
「ありがとう木々」
ふふっと笑いながら
木々を見つめるさやは
何だか昔から自分達を知っているかのように思えて
ミツヒデは、ん?と頭を傾げた
さやを上から下まで見つめてみても
桃色の髪にも、服装にも、顔立ちにも
心当たりはなく
考えても仕方がないか と
ミツヒデはこちらを見るさやに
にこりと笑った
「3人はよくここに来るの?」
「んーまあそうだな
ゼンが来たがるんだ」
「あの人凄いね
あんな所から飛び降りてきて
剣を皆持っているけど腕は立つの?」
「お、そう言うさやも剣を下げてるな
得意なのか?それとも護身用?」
くすくすとゼンを思い出して笑うさや
アニメで見るよりも
あの壁はかなり高くて
よくもまあ元気に飛び出せるものだと
ゼンのじゃじゃ馬っぷりに呆れ半分笑い半分
ミツヒデはさやの腰にある
2本の剣を見ると嬉しそうに聞いてきた
「二刀流か?珍しいな
左の剣は殆ど短剣だな」
「男の人みたいに腕力がないから
小回りでカバーよ。だから片方は短いの
勝負してみる?」
「勝負か!いいね、決まりだ!」
------ コンコン
ミツヒデとさやが外に出ようとした時
空き家のはずのドアがノックされた
ゼン達であれば勝手にドアを開けて入るか
手が塞がっていても声をかけてくるはずなのに
声もかからずノックだけ
嫌な予感だ
「誰だ?ゼンか?」
「…ゼンじゃないよ。私が開ける」
緊張感が走る
剣を握るミツヒデを後ろに、短剣を構えたさやが
ドアを素早く開ける
開けたドアの先には
青空が広がり、そこには誰もいなかった
「え?……あ」
「さや大丈夫か?」
ミツヒデがひょっこり顔を覗かせると
ドアの端にぶつからないように
籠に入った林檎が置いてあった