第5章 Say goodbye
《ファンタジア》が開催されている街中に背を向けラクサスは歩き出す。マカロフから破門を言い渡され、当分の間マグノリアを離れることにしたのだ。騒がしい通りを過ぎ、川沿いを歩いているとよく見知った人物がこちらを見て立っていた。
いつもは目を逸らすラクサスであったが、その人物を見つめ前に立った。
「怪我……大丈夫なのか」
「ええ」
「お前を見たら意志がブレちまいそうだから会いたくなかったんだが……」
「……」
医務室にノエルがいるのだ、会って謝れと泣き叫んでいたカナの言葉を無視し逃げ出したのを思い出し決まりが悪かったのだが、ノエルの穏やかな表情を見てラクサスは思い直した。
今、言葉にしなければ後悔する。
直感がそう告げていた。棘のある言葉を投げてしまうかと自分でも思っていたが、マカロフとのやり取りもあったおかげか素直な言葉が口に出る。
「お前が逃げているもの……その全てからお前を守れる強いギルドにしたかった」
ラクサスが《バトル・オブ・フェアリーテイル》を行った理由の一つだった。