第5章 Say goodbye
「私、ラクサスと会う前に闇ギルドに所属してたの」
「……そうか」
「他に生きていく方法が分からなくて。……私は盗みしか知らなくて。ずっと盗みを働きながら各地を転々としていたの。そうしていたらさっきの人達が声をかけてきて。人の為にならないかって」
ポツリポツリと話すノエルの言葉をラクサスは相槌を打ち、続きを促す。
「この盗みは依頼人の為になるからって。良い盗みなんて存在しないのにね。私はその口車に乗ってしまったの」
「馬鹿だよね」と自嘲するノエルにそのような状況に陥ったことのないラクサスは何も言えなかった。
「最初は盗みだったクエストが段々エスカレートしていって殺しになった時、私にはどうしても出来ないと思った。それでここまで逃げてきたの。今日来たのは闇ギルドの人たちだったけれど、もし……。もし盗まれた家の家主さんが来たら私はどうお詫びをすれば。悪いのは私だもの。捕まれば済むのかな。……ああ、でも皆んなに迷惑をかける前にフェアリーテイルは辞め」「落ち着け!!」
自分の罪を告白していく中で極端な答えを出そうとしていたノエルを両肩を掴んでラクサスが止める。
「お前が今から昔の罪で勝手に捕まったところで何になる?それよか直接詫びに行って誠意を表した方が相手の為になるだろ。俺も一緒に行ってやる。だから辞めるなんて絶対に言うな」
ラクサスの言葉にノエルの濁っていた瞳から精気が戻ってきた。
「ほんとに?」
「ああ!!それでもお前に手を出そうとする奴がいれば俺がお前を守るから。まずはS級魔導士になって証明してやる!!」
ラクサスは立ち上がり、少し歩くと拳を上に突き上げる。すると大きな稲妻が快晴の空に一筋走っていった。ノエルはその稲妻を目に焼き付けて、ようやく笑みを浮かべたのであった。