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【R18】割れたリンゴ【FAIRYTAIL】

第5章 Say goodbye


ラクサスの言葉にノエルは目を丸くさせるが直ぐに柔和な笑顔へと変わった。

「うん、知ってたよ。ラクサス、貴方は優しいから……。あの時からずっと苦しませてしまっていたんだよね」

その言葉にラクサスは思いを馳せた。6年前、ラクサスがS級試験に挑むより少し昔。ラクサスとノエル、それからナツとグレイでクエストに行った時のことだった。



ある組織を壊滅させるというクエストの最中に街を半壊させてしまった面々。評議院から注意を受け、イシュガル大陸最大の新聞社の一面に4人の顔写真が載ってしまった。3人は名誉の勲章だと笑っていたが、ラクサスが隣を盗み見るとノエルは青い顔をして立ち尽くしていた。

それから数週間後。ラクサスとノエルが新しいクエストへ旅立ち、もう少しでマグノリアを出ようというところで事件は起こった。

「嬢ちゃんがフェアリーテイルのノエルかい?」
「……え、はい」
「お前ら、何の用だ」

見るからにカタギの人間ではない風貌の男たちが前から声をかけてきたため、ノエルとラクサスは警戒した。

「お前さんには用ねえからどっか行っていいぞ」
「断る」

ラクサスはノエルと男たちの間に入り彼等を睨んだ。その姿を見た男たちはニタニタと薄ら笑いを浮かべ、口を開いた。

「さながらナイト様ってか。くーっ、泣けるねぇ。……でも、その女には守るだけの価値があるのか?」
「何言ってやがる」

その言葉に取り合う意味がないとラクサスはノエルの手をとり男たちを通り抜けようとしたが手が震えていたため振り返れば、ノエルは血の気の引いた顔で立ちすくんでいた。

「ノエル?」
「…………なさい」

あまりにもか細い声にラクサスは「大丈夫か?」と声をかけるとノエルは全く焦点の合わない顔をラクサスにむける。その瞳は出会った時に見た深海のような深い青色の目だった。

「気づいたかよ、嬢ちゃん。そうさ、ここにいる連中はお前が勝手にギルドを足抜けしたせいで捕まって牢獄にぶち込まれてた奴らさ。視察に出ていた評議員を暗殺すれば俺たち全員が一生遊べる程の大金が手に入るっていう割りの良い仕事だったのによぉ」
「は?」

理解が追いつかず間抜けな声が出るラクサスと下を向き唇を噛み締めるノエル。
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