第4章 Cry in the cathedral
「解けた!!!」
レビィの明るい声が人数の少ないギルド中で響く。
「待ってて、術式を書き換えてくる!!」
術式の壁へと向かうレビィに後ろから声がかかる。ビスカの治療を終えたノエルが立っていた。
「レビィ、お願いがあるの」
「ノエルさん?」
「私の文も書き換えてくれる?」
「…いいんですか?」
不安そうなレビィを安心させるようにノエルはニッコリと笑う。古文書に載っている慈愛の女神のような柔和な笑顔。
「……っはい!分かりました!」
その顔に思わず惚けて手が止まったレビィであったがそんな場合じゃないと気を取り直し、振り返り空に浮き出る文字を書き換えていく。
5分もかからないうちに術式に手が加わり、意味を無さなくなった。
「フリードの術式に嵌らないように3人別々に行動ね」
「了解!!」
「その方がやりやすいぜ」
「ありがとう」
3人はいままで溜めていたパワーを放出するかのように速く駆け、あっという間に見えなくなる。その頼もしい背中にレビィはフェアリーテイルの未来を祈った。
街中を探し回っていたノエルは神鳴殿を構成する雷のラクリマの多さに唸る。先程カナに聞いた限りだと全てに生体リンクが備わっているため破壊は難しいとの事。それが更に頭を痛める理由であった。
その時、バァンとカルディア大聖堂の方から建物が壊れる音が轟いた。誰かが戦闘を行っているらしい。十中八九ラクサスだろう。
ギルドを守るとは言ったけど、会いづらい…。
元々関係が拗れている中でこの前の騒動、そして今。ラクサスとノエルの関係性はぐちゃぐちゃだった。面と向かって会うには正直もう少し時間が欲しい。
「ノエル、出られたのか。カルディア大聖堂だ、行くぞ!!」
大聖堂に向かいながらも、うじうじと悩むノエルが途中で立ち止まっていたのをそれを知ってか知らずかエルザが後ろからノエルの肩を掴んで押すように一緒に走り出す。
「「ラクサスっ!!」」
聖堂の入口へと辿り着けばナツとエルザが同時に声を上げる。
「誰だアイツ?」
「…ミストガンか」
エルザと対峙したミストガンの姿に動揺が見え、それをラクサスが逃すはずもなく雷撃を放つ。