• テキストサイズ

【R18】割れたリンゴ【FAIRYTAIL】

第2章 Re:birth


「ちなみになんでマグノリアに?」
「マグノリア?」
「ここはマグノリアと言うんじゃよ。川も緑もあって良いとこなんじゃ。お前さんはあんなにボロボロの服を着て一体どこから来たんじゃ?」
「……ずっと、ずっと遠いところから」

ラクサスの質問には黙り通した彼女もマカロフの気安さからポロリと答えていた。ここを何処かも分からないほど一心不乱に逃げてきた様子から相当な訳ありであるということは年配のマカロフやヒルダだけでなく、まだ青年に成りきれていないラクサスでさえも容易に想像が出来た。

「ほう?どうしてここまで?」
「……逃げてきたから」
「それは誰から?」
「……」

答えたくないのだとただ首を横に振った。それ以降誰が、例えマカロフであっても何を聞いても口を開かず彼女は俯き続ける。

「酷な事を聞いて悪かった。今日はクリスマスイブじゃ。楽しもうではないか」

彼女の様子に諦めたのかマカロフは彼女の手を取り医務室の外へと連れ出す。彼女はなすがままにギルド内の中心にあるクリスマスツリーへと連れていかれた。

「お前も来んかい、ラクサス」
「…あぁ」

マカロフに促される様にロビーへと出れば入ってきた時の邪険ぶりが嘘のようにギルドメンバーが彼女を取り囲んでいるのが見えた。

「どっから来たの?私カナ、よろしくね」
「へぇ、さっきの犬が可愛い女の子だったなんてな。おい、マカオ。謝りやがれ」
「…本っ当にすまん!!!」
「リーダス、マカオの土下座を絵に描けよ」
「俺を巻き込まないでよ、ワカバ」
「てめぇ、ふざけんなよワカバ!!」
「なんだとっ!!」

いつものように始まるマカオとワカバの喧嘩に萎縮する彼女と日常茶飯事なため誰も助け舟を出さない地獄絵図にラクサスは頭が痛くなる。

「こっち来い」

ギルドに連れて来た時と同じようにラクサスは手を引き、喧嘩の中心から逃れ適当な椅子に座らせる。そしてそれを待っていたかのようなタイミングでマカロフはクリスマスのパーティ用の食べ物をテーブルへと運んできた。
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp