第11章 標的11 風紀委員長
「いっぱい作ったから沢山食べてね」
レジャーシートを敷き、お重箱を広げた綾里がにこりと微笑めば、
「「「いただきます!!!」」」
綱吉・獄寺・山本の3人が割り箸を手に嬉しそうに声を揃えた。
昼食は天気の悪い日以外は屋上で食べることにしている4人。
初めこそ教室で食べていたのだが、今となっては屋上で食べることが習慣になってしまった。
日によってはこのメンバーの中にリボーン・笹川兄妹・花、どこから嗅ぎ付けるのだろうかランボにビアンキまで加わることもあって、
それはそれは賑やかな昼食になる。
さすがに毎日ではないけれど、今日は特別に綾里が皆の分のお弁当を作ってきていた。
お重箱には、鮭・昆布・梅干といった定番な具を初め、海老マヨといったちょっと変わった具が入ったおにぎり。
下段には、卵焼き・唐揚げ・ウィンナー・チーズカツといったスタミナ満点なおかずはもちろん、
ポテトサラダといった野菜のおかずもバランスよく入っている。
しかも食後のデザートにかぼちゃのプリンまで用意されているときた。
大勢の分を1人で用意するのは大変なのに。
それでも彼女は昨日、弁当を作ることを快く承諾してくれた。
きっと今朝 早起きして作ってくれたに違いない。
綾里の心遣いに、3人は心の中で感激の涙を流した。
「綾里さん、凄いです!さすがです!」
獄寺の言葉に綾里は照れくさそうに笑う。
「そう言ってくれてありがとう―――皆が私の作ったお弁当食べたいって言ってくれて嬉しかったから、
調子のって……ちょっと、多く作りすぎちゃったかも」
「食べきれなくなったら、遠慮せず残してね」と言う綾里に獄寺は勢いよく力説した。
「綾里さんの作る料理はどれも美味いから、すぐになくなっちゃいますよ!……これなら、いつオレのとこに来ても平気ッスね」
最後、顔を赤く染め、ぼそりと呟く獄寺。
その小さな呟きを聞き取った他2名がピシリと固まった。
山本がちょい、ちょい、と指で綾里の肩をつつく。
「武、どうしたの?」
「あっち見てみろよ。 なんか、凄いの飛んでるぜ!」
「本当っ!?」
綾里が後ろを向いた瞬間、山本が綱吉にアイコンタクトを送る。
綱吉は頷くや否や懐から何故かスリッパを取り出し、
スパーン!!