第11章 標的11 風紀委員長
―――並盛中、会議室。
そこにはその名の通り、生徒達が集まり会議を行っていた。
「プリントにあるように これが2学期の委員会の部屋割りです」
囲まれた会議用の長机。黒板に近い位置に座る眼鏡をかけた男子生徒がプリントを手にして言った。
それぞれの委員会が自分達の部屋を確認する中、1人の女子生徒が不満の声を上げる。
「え――っ何コレ!? 応接室使う委員会がある。 ずるい!どこよ!」
その発言に周囲の生徒達は一瞬にして青褪めた。
少女の隣に座る男子生徒が慌てて声を潜め、
「風紀委員だぞ!」
「はっ」
少女が「しまった!」とでもいうように己の口を押さえるが既に時遅く。
周囲に重苦しい空気が漂う。
息をするのさえ困難にも思えるような張り詰めた空気。
耐えられなくなった少女は震える足でやっとの思いで立ち上がり、頭を下げた。
「すっすいませんヒバリさん!!」
彼女が頭を下げるその先には、左腕に【風紀】と書かれた腕章をつけた少年――雲雀恭弥の姿があった。
雲雀は席には座らず、ただ1人窓辺に立っている。
「………………」
「ひっ、ヒバリさん……っ?」
少女が必死に問いかけるも雲雀は答えなかった。
【恐怖の風紀委員長】と学校中から恐れられる彼。
そんな彼に彼の委員会に少しでも反抗する態度を見せようものなら、恐ろしい仕打ちを受けるというのに。
どうした訳か雲雀は何も反応を示さない。
これには少女も他の生徒達も不思議に思い首を傾げた。
雲雀をよく見てみると彼の右手に赤いリボンが握られているではないか。
鮮やかな赤。シンプルだが女の子が好みそうな可愛らしいデザイン。
雲雀はそのリボンを愛しげに見つめていた。
あ、あの風紀委員長があんな表情をするなんて!?
衝撃の出来事に驚きを隠せない生徒達。
そんな中、緑化委員―――目つきの悪い男子生徒3人組が笑った。
「男がリボン見つめちゃって気色悪い」
少年の1人がそう口にした瞬間、
「ひ、ひぃっ!?」
瞬間移動でもしたかのように、眼前に風紀委員長の姿が。
彼等が最後に見たのは、目に殺気を宿した雲雀がトンファーを振りかざす瞬間だった。