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青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第11章 標的11 風紀委員長


「雲雀恭弥」
「……へ?」

ぽかんと固まる綾里。
けれどすぐに挨拶されているのだと気づき、元気よく笑った。

「私はいのり綾里です。よろしくお願いします! えと――雲雀先輩!」
「 『恭弥』 でいいよ。そのかわり僕も 『綾里』 って呼ぶから……いい?」
「はい、恭弥さん!」

さん付けされた雲雀は少しむっとする。

「まぁ、今はそれでいいよ。―――ところで、急いでるみたいだったけど?」
「ああっ!? いけない、部活始まっちゃう!」

自分の腕時計を見てぎょっとした綾里は一呼吸して落ち着きを取り戻すと、再び頭を下げた。

「さっきはぶつかってしまってすいませんでした!お詫びにこれを―――どうぞ!」

差し出されたのはチェック柄の包み。
透明ではない為 中に何が入っているのか分からない。
雲雀は不思議そうにそれを見つめた。

「……これは?」
「私が焼いたクッキーなんです。 もしよかったら食べてくださいね!」

綾里がふわりと笑う。
春の陽だまりのようだと雲雀は思った。

「あっ、いた! 綾里ー、部活始まるよ~!」

調理室のドアからエプロンを着た女子生徒が顔を覗かせる。
綾里は元気よく答えた。

「ありがとうー今行く!―――恭弥さん、私はこれで……」

走っていこうとする綾里の腕を雲雀は慌てて掴んだ。
きょとんと首を傾げる綾里がこれまた可愛らしくて見惚れてしまいそうになったが、雲雀は何とか口早に言った。

「僕、風紀委員長なんだ。 今度僕のところへ遊びにおいで。これのお礼がしたいから」

雲雀はさっき貰った包みを綾里に見せた。
綾里は嬉しそうに笑うと、ぺこりとお辞儀をする。

「ありがとうございます。 それでは、また!」

少女の後姿を見送りながら、今時珍しい礼儀正しい子だと雲雀は好感を抱いた。
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