第11章 標的11 風紀委員長
小動物を連想させるような雰囲気の少女。
きっと今までの連中と一緒で怖がってすぐに逃げだすのだろうと思った。
少しでも逃げる素振りを見せたなら いつものように 【咬み殺せばいい】 と思っていた。
それなのに、それなのに―――
なんて真っ直ぐな目をしているのだろう。
出会ったばかりの相手だというのに。
少女を 【自分だけのものにしたい】 と思ってしまっている自分がいて少年は驚き、内心笑った。
生まれて初めて感じる、不思議な感情。
(……面白い)
「もしやどこか怪我を―――」
自分を見つめたまま動かない少年に綾里はあたふたと慌てる。
何だかひよこがあわあわしているみたいで、 それが余計に面白かった。
少年はクスリと笑う。
その笑みは彼を知る者が見たら仰天するくらい優しい表情で。