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青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第11章 標的11 風紀委員長


それは夏休みがあと少しで終わろうとしている日の事だった。

「はぁ、はぁ……」

綾里は息を切らせながら学校の廊下を走っていた。
昨夜 目覚まし時計が止まっているのに気づかないまま朝を迎えてしまった綾里。
その結果、寝坊してしまったのである。

―――今日は綾里が所属する スイーツ部 の活動日。
”自分の好きなお菓子を作って女の子同士でお茶会をする”何ともフリーダムな部活だが、時間にはとても厳しい。
「皆には自由にお菓子作りを楽しんでほしいのだけれど、最低限のルールは守ってちょうだいね」というのが部長の考えだった。

「あと……もう少し……っ」

廊下の角を曲がれば調理室。何とか間に合う……!
気持ちばかりが先走り、よく確認しないまま曲がったのがいけなかった。

タイミング悪く人とぶつかってしまう。
尻餅をついた綾里は慌てて相手を見上げた。
そこには漆黒の髪と鋭い目つきをした肩に学ランを羽織った少年が立っている。
どこか他人を寄せ付けない独特な雰囲気を持つ彼はギロリと綾里を睨みつけた。

「……君、僕にぶつかるなんていい度胸だね。咬み―――」
「ごめんなさい、お怪我はありませんかっ!?」

綾里はすぐに立ち上がると、頭を下げて謝った。
そして心配した様子で少年を見る。

「っ!?」

不意に少年の胸が高鳴った。
少年は武器を取り出そうとしていた手を止め、とても驚いた様子で綾里を見つめる。
今まで恐怖や敵意の眼差しばかり向けられてきた彼。
しかし目の前の彼女はどうだろうか。
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