第10章 標的10 お医者さん
リボーンは静かに目を閉じる。
ああ、2人の間にある絆はこんなにも強い。
綾里と最近出会った自分にはそう簡単に埋めることができない差だ。
リボーンは胸にジリッと焦げ付く様な痛みを感じる。
(このオレが、本気で嫉妬するなんてな……)
かつて何人もの愛人をつくっていたリボーンは内心苦笑した。
今まで嫉妬されることはあっても、したことはなかったのだ。
綾里に出会ってからというもの、彼女は様々な感情を自分に気づかせてくれる。
それは彼にとって新鮮であり、いつしかかけがえのないものになっていた。
だからこそ、彼女を諦められない。
―――例え恋敵の方に分があるとしても。
「ツナ、オレは負けねぇぞ」
断言するリボーンを見て、綱吉は同じ相手を想う者同士 何か感じるものがあったのか、不敵に笑った。
「オレだって負けないよ、綾里のことに関してだけは」
リボーンと綱吉が笑い合った、その時―――
『チュウー!!!!』
「「……………………」」
2人は一瞬、某アニメの電気ネズミが雷撃を放ったのかと思ったが、今の声は確かに綾里のものだった。
綱吉が慌てて下の階へと急ぐ。
リボーンもその後を追いながら、普段 誰にも見せないような優しい表情で微笑した。
―――綾里、お前と一緒にいると毎日が飽きねぇよ。