第10章 標的10 お医者さん
「何勝手に終わらせようとしてんだ、ツナ」
フェンスの上に腰掛け、登場するタイミングを今か今かと待ち構えていたリボーン。
タイミングが訪れるどころか、終わりそうな勢いだったので待ったをかけたのだ。
綱吉は盛大に舌打ちをする。
「邪魔しないでくれる? 次回はオレと綾里の結婚式だから」
「私と綱吉が結婚っ!?」
「心配しなくていいぞ綾里、お前はオレの嫁だからな。―――ツナ、綾里をからかうんじゃねぇ。それにそんな事してみろ、綾里との出会いを待ち侘びてる奴らから総攻撃を受けるぞ。明日の早朝、【トンファーを装備した風紀委員長】が現れてもいいのか?奴はバイクに乗ったまま、家に突撃する可能性大だぞ」
「死ぬ気で返り討ちにすればいいよ」
「今日 山本と獄寺君を家に呼び出して、泊り掛けでスタンバっててもらおうかな」と、平然と言う綱吉にリボーンは一瞬、「もうコイツに家庭教師はいらないんじゃないか」という考えを巡らせたが、自分の役目を思い出し、考えることをやめた。
リボーンはいつもの調子を取り戻し、これまたいつものようにニヤリと笑う。
「今のツナじゃ、返り討ちは無理だな」
「どういうことですか、リボーンさん?」
綾里が質問する。
リボーンは綱吉の右手を指差した。
「ツナの手のひらを見てみろ」
綱吉と綾里が2人揃って視線を向けるとそこには、
「なんだこれ―――!!?」
不気味なドクロのマークが浮き出ていた。
「それはドクロ病っていう不治の病だ。ツナ死ぬぞ」
「そんな……!?」
リボーンと綾里が青褪める。
一方、綱吉はというと、死の宣告を受けたというのに、目をキラキラ輝かせていた。
綱吉は何を思ったのか綾里に向かってばっと両手を広げる。
「さぁ、綾里、おいで!! 今こそ愛の口付けで―――」
「いい加減にしろ」
家庭教師の渾身の飛び蹴りが炸裂した。
「きゃああ!? 綱吉、綱吉、しっかり!!」
さらに顔を青くした綾里が綱吉の体を揺さ振るが反応がない。
まさか気絶するとは思っていなかったリボーンは、気まずげに口を開く。
「……オレとしたことが……すまんが、綾里」
「はい、何でしょう!?」
「ツナを背負って家まで帰ってくれるか」