第8章 標的8 不幸少年
「頼もう!! 魔王はいるか!!」
まるで武士のように顔をキリッとさせた入江が叫んだ。
するとベランダから眠そうな綱吉が現れる。
どうやら昼寝をしていたらしい綱吉は片手を口の前にあて ふわぁ、と欠伸をした。
「……何、お客さん? ―――綾里、お茶でも出してあげたら?」
「うん。 せっかくだからお菓子も用意しようかな」
「あ、オレも食べたい」
「了解、皆の分も持ってくるね!」
そう言うと綾里は元気よく台所へ走って行った。
入江は首を傾げる。
(あれ? もともな人だ……)
綾里の後ろ姿を微笑ましそうに見送る綱吉はいたって普通の少年に見える。
入江には彼が魔王だなんてとても思えなかった。
「ツナ、コイツはお前を倒すんだそうだ」
「綾里のことをストーカーみたいに覗いてたうえに、あの子を嫁にもらいたいんですって」
ピタ
リボーンとビアンキの言葉を聞いて綱吉が一時停止した。