第8章 標的8 不幸少年
すると今まで入江の背中で眠っていたランボが目を覚ました。
ランボは寝惚けた目で綾里を発見すると 嬉しそうに笑い
「綾里、だっこ~!!」
綾里の胸を目がけて ぴょん、と飛び移ろうとした―――が、
「そうはさせねぇぞ」
レオンを野球バットに変身させたリボーンがランボを勢いよく打ち返した。
ランボは悲鳴を上げながらまたもや空の星に(本日2回目)
入江は青褪めた顔で口をあんぐり開けて固まる。
リボーンは フッ、と笑う。
「おい、入江正一って言ったな」
「は、はい……!」
「お前、綾里を狙ってるなら魔王の試練を受けてもらうぞ。ウチにはな、綾里をそれはそれはもう 溺愛しまくって綾里に何かあろうものなら世界征服をし出すくらい 愛しまくってる奴がいるんだ」
「それは私達にも言えることだけどね」
ビアンキが ランボを心配して顔を曇らせる綾里をよしよしと撫でる。
入江はごくりと息を呑むと、
「ちょっと失礼します!!」
彼はその場から離れると、再び携帯を取り出し短縮ボタンを押した。
「もしもし、母さん!? 魔王を倒すにはどうすればいいと思う!?」
『……正ちゃん。 あなたランボ君と木箱、ちゃんと届けてくれた?」
「そんなのどうでもいいよ」
入江は「ああ、もういい! じゃあね!!」 と、一方的に通話を切った。
***
ツーツーと電子音が鳴り続ける電話を片手に固まる入江母。
近くにいた入江の姉が不思議そうに尋ねた。
「お母さん、どうしたの?」
「……大変よ、ついに正ちゃんが
反抗期になったわ!!」
今日は色んな意味で忙しい入江家だった。