第8章 標的8 不幸少年
『あの、ビアンキさん?』
今までビアンキに「最近は危ないから私が確認するまで来ちゃ駄目よ」と念を押されていた綾里が騒ぎを気にしてこっちに来ようとする。
ビアンキが慌てて止めた。
「綾里、来ちゃ駄目!このメガネ、綾里を狙ってるわ!!」
『えぇ、 マフィアには見えなかったですけど!?』
『……綾里、【狙ってる】の意味が違うと思うぞ―――オレが一緒なら大丈夫だ、行くぞ』
『はい』
「ちゃおっス」
「こんにちは」
「……!!!」
綾里がリボーンと共に現れた。
少女の姿を目にした瞬間、入江の心臓が再びドキドキと騒ぎ出す。
入江の背中に視線を向けた綾里が驚いて彼の近くに駆け寄った。
「ランボ君!! 無事だったんだね、よかった!―――貴方が連れて来てくれたんですね、ありがとうございますっ」
綾里に至近距離で微笑まれ 顔を真っ赤にする入江。
幸せすぎて今にも卒倒しそうになるが 彼女と会話したいと思っている入江は何とか持ち堪えた。
「い、いいんだよ これくらい! あ、あの、僕 入江正一っていうんだ!」
「私はいのり綾里です。 よろしくお願いしますね、入江さん」
「 『正一』でいいよ! その……『綾里ちゃん』って呼んでいいかな?」
「はい! それじゃあ……正一さん?」
微笑みながら ちょこんと首を傾げる綾里。
入江は片手で口を押さえる。
ヤバイ、この子可愛すぎる……!