第8章 標的8 不幸少年
少女に話しかけられ 恥ずかしくなって反射的に隠れてしまった入江。
彼はすぐさま携帯を取り出すと短縮ボタンを押す。
「もしもし母さん!?ここは天国だ、天使がいる!!」
入江が興奮して叫ぶと、少し驚いた様子の入江の母は、
『ついに正ちゃんにも春がきたのね!? お赤飯炊かなくちゃ!母さん達応援するわ、頑張ってね!!』
「うん!!」
そこで通話は途切れた。
するとそこへ水着の女性―――ビアンキが現れる。
「私の綾里に何か用?」
「!」
少し厳しい表情で入江を見るビアンキ。
入江は驚いて肩がビクッとなった。
「(あの子、綾里っていうんだ。 可愛い名前だな……) あ……あの、綾里さんを……」
「嫁にくださいですってっ!?」
「!?」
くわっ、と目を見開き勝手に言葉を付け足すビアンキ。
……いやいや、いくらなんでも初対面で会話したことのない相手を嫁にもらうだなんて―――
「はい、僕にください!!」
そこまで本気だったのか少年!?