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青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第8章 標的8 不幸少年


(ここだな……)

ランボと木箱を抱えた 茶髪で眼鏡をかけた気弱そうな少年―――入江正一が呟いた。

目の前には 【沢田】 という表札。
何故少年がここにいるのかといえば 綱吉によって空の星になったランボが偶然にも彼の家に墜落したからだ。
そしてすぐに届けられたのは 【ボヴィーノ夏のおわび詰め合わせ】 と書かれた食材と札束が入った木箱だった。
食材は素直に喜べた入江一家だったが、 札束なんて訳の分からない相手から貰える筈もなく。
かくして入江は母と姉からランボと木箱を家まで届ける役目を押し付けられたのである。

入江は顔に汗を浮かべ そーっと沢田家の庭を覗き込む。

「!!」

少年は我が目を疑った。
彼が釘つけになっているのは 大胆にも水着姿で寛ぐ女性―――ではなく。

1人の少女だった。

濡れたように艶やかなチェリーブラウンの髪、極上のエメラルドのような輝きを持つ大きな瞳。
すらりとした身体は華奢で、肌は雪のように白く触ったら滑らかそうだ。

白のワンピースを身に纏う彼女はトレーにのったビールを赤ん坊と女性に手渡す。
受け取った2人は優しげな表情で少女に微笑みかけた。

己の目的を忘れ、少女を見るのに夢中になる入江。
―――すると、入江の視線に気づいた少女が驚いたように目を見開くと、にこりと微笑んだ。

「あの、どちら様ですか?」
「……っ!?」

小鳥のような可愛らしい声に話しかけられ言葉を失う入江。
―――夏空の下、彼女の存在すべてがキラキラ輝いているように見えた。
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