第8章 標的8 不幸少年
夏というのはお中元の季節である。
貰えるのは嬉しいのだが、食品だと多くありすぎると それはそれで困るもので。
綾里は台所で鼻歌を歌いながら 慣れた手つきで昼食の準備をしていた。
茹でて冷した麺に細切りにしたきゅうりやレタスといった野菜、裂いておいたカニカマ、大きめに作った炒り卵を盛りつける。
最後に麺つゆ、酢、ごま油を混ぜて かけつゆを作れば完成だ。
「お待たせ、今日は そうめんをアレンジしてみました」
綾里が そうめんの入った涼しげな器を1人1人に配っていく。
綱吉・ビアンキ・リボーン・奈々の4名は感激の声を上げた。
「わぁ、うまそー!」
「カラフルで素敵」
「さすがオレの嫁だぞ」
「綾里ちゃんがこうやって色々工夫してくれるから ほんと助かるわー」
綾里は着ていたエプロンを脱ぎ丁寧に畳むと にこりと笑う。
「喜んでもらえて嬉しいです。それじゃあ、いただきま―――」
「ガハハハハハ!」
するとそこへ 何故か変な方向に角をつけたランボが現れた。
「!ランボ君、いらっしゃい!」
「綾里、オレっち―――」
ランボが嬉しそうに綾里の元に駆け寄ろうとした時。
綱吉とビアンキが素早く動いた。
「くぴゃっ!?」
ランボが驚いて上を向く―――爽やかな笑みを浮かべる綱吉にアフロを鷲掴みにされたからだ。
それと同時に窓を全開にしたビアンキが綱吉に合図を送る。
頷いた綱吉は、
ランボを勢いよく窓の外へ投げ飛ばした。