第7章 標的7 夢見る乙女
綱吉は頭痛がしてきた。
ああもう、最近こんなのばっかりだな、おい。
どうやら彼女の中で完全に 【綱吉=魔王】 の図式が成り立っているらしい。
まぁ、あながち違うとは言いきれないが。
「まって、ハルちゃん! 誤解だよ、綱吉は魔王なんかじゃない!」
「綾里……!」
必死な表情で言う綾里。
綱吉はじ~んと心に込み上げてくるものを感じた。
「いいえ、綾里ちゃんは魔王の黒魔術的な何かで騙されてるんです!今ハルが助けますから! ということで―――お手あわせ願います!」
「んな――!!?」
「―――っ!!」
ヘルメットを被り、スティックを勢いよく振りあげるハル。
彼女は綱吉と綾里を引き離すように2人の間を目がける。
「あちょー!」
「うわっ、ちょ、まてよ!」
「ハルちゃん……!」
間一髪のところで避ける綱吉と綾里。
スティックが地面にぶつかって ドゴオ、と凄まじい音をたてる。
綱吉は思った。
彼女は本当に一般人なのだろうか?