第7章 標的7 夢見る乙女
「わーい お姉さんも綾里ちゃんを救出したい仲間だったんですね―――」
ビアンキによって おでんの屋台に連れて来られたハル。
ハルはおでんに舌鼓を打ち、ビアンキは酒を楽しんでいる。
「綾里っちって本当かわいいですねー」
「ええ、ステキ」
「なのにツナって奴『オレ好みに染める』とか言い出した挙句、リボーンっていう赤ちゃんを殺し屋ごっこにかりたてるつもりなんですよ。すっかりその気になっちゃったリボーンちゃんは、『綾里は殺し屋であるオレの嫁だからな』って言うし!」
「リボーンは最高の殺し屋よ」
「!」
「綾里を狙う最高のライバルでもあるわ」と、さらりと言うビアンキ。
ハルは一瞬驚いたがすぐに笑った。
「んも――何言っちゃってるんですかお姉さ……」
「ツナは親玉であるマフィアの10代目ボス―――いいえ、魔王なの。ああ、かわいそうな私の綾里! さしずめ綾里は捕らわれの姫ってところね」
「またまたそんな 、はひっ!」
ハルがビアンキを見ると、彼女の目には涙が浮かんでいた。
口をあんぐり開けて固まるハル。
―――ビアンキの言った事は、ところどころ脚色されているが(魔王だとか姫だとか)一応真実だ。
純粋な少女はそれをとんでもない方向に受け止めてしまう。
『オイ、ちょっと待てコラ』
『何、『綾里をお嫁さんにください』って言う訳?ハッ、オレを倒してから言えよ』
『日本語喋ってくれる?―――でも真っ白な綾里をオレ好みに染めるのも悪くないかもね』
……ハル、ようやく分かってきました。
ツナさんは魔王だから あんなに真っ黒なんですね。
待っててください、綾里ちゃん。
ハル、魔王からお姫様を救う
王子様になりますから!!
目をキラキラ輝かせる少女。
さてさて、どうなることやら……