第7章 標的7 夢見る乙女
夜の闇に紛れるように、泥棒のような格好をした少女―――ハルが沢田家の様子を窺っていた。
「かわいそーな綾里ちゃん。あの男の前では思ってることを言えないんだわ」
【あの男】 というのは、もちろん綱吉のことである。
あの後 綱吉とハルは、綾里はオレのだとか、お腹真っ黒なあなたに綾里ちゃんは渡せないだとか言い争っていたが、結局 勝敗がつかないまま終わってしまった。
「まっててね、綾里ちゃん。 ハルが自由の身にしてあげます」
「気が合うわね」
「?」
すると突然 片手に酒瓶を持った女性―――ビアンキが現れる。
ビアンキはハルの首根っこを むんず、と掴むと彼女をずるずると引っ張っていった。