第7章 標的7 夢見る乙女

―――が、

「……こう……ギュ……っってさせてもらえませんか？」

「オイ、ちょっと待てコラ」

豹変した綱吉にハルはビクッ、とたじろぐ。

「な、何ですか、いきなり！！」
「その台詞そっくりそのまま返す」
「綱吉。ハルちゃんは女の子だし、それくらい私は平気だよ？」
「それが一番心配なんだよ！」

今にも綾里の手を引っ張り、全力疾走で家に帰ろうとする綱吉にリボーンが止めに入った。

「まぁ、待てツナ。 ―――ハル、といったな、綾里に気安くさわるな」
「えっ」

ハルはガーンッ、とショックを受ける。

「リボーン……！」

珍しくまともにフォローしてくれるのかと、綱吉はちょっと感動したが、リボーンはチャッ、と銃を手に持つ。

「綾里は殺し屋であるオレの嫁だからな」

お前、それが言いたかっただけだろ！？

「全然フォローになってねぇええ！！」と頭を抱える綱吉。
するとそこへ驚きで固まっていたハルが、スタスタと綱吉の前に歩み寄る。
彼女は大きく右手を振り上げた。

パァンッ

「え」
「！？」

突然の事で驚く綱吉とハル。
ハルは綱吉の頬をぶったつもりだったが、叩いた相手は、

―――なんと綾里だった。

綾里は綱吉が叩かれそうになった時、咄嗟に綱吉とハルの間に割って入ったのである。
ぎゅっと目を瞑って痛みに耐える綾里。
叩かれた綾里の白い頬が見る見るうちに赤くなっていく。
綱吉とハルの顔が一瞬にして真っ青になった。

「水ー！！ お前、早くハンカチよこせええええええ！！！」
「はいいいいいいいいいいいい！！！」
「えぇっ！？ そんな、これくらい大丈夫だよ」

綾里は笑うが、２人はぐわっ、と口を揃えた。

「「絶対駄目（です）！！」

あまりの迫力にぽかんと固まる綾里。
ハルからハンカチをもぎ取って全速力で駆けていく綱吉の後ろ姿を綾里はただ見送ることしか出来なかった。

「また過保護な奴が増えちまったな」

よしよし、と綾里の頬を撫でるリボーン。

お前もな

ここにもう１人誰かがいたのなら、そうツッコんだに違いない。