第7章 標的7 夢見る乙女
ミーンミーンと蝉が鳴く中、綱吉・綾里・リボーンの3人は帰路を歩いていた。
「今日も暑いなー」
額に汗を浮かべた綱吉。手でぱたぱたと仰いでみるが大して効果はない。
彼の隣を歩く綾里は自分の汗をハンカチで拭うと、にこりと微笑む。
「本当に暑いね。―――今日のメインは冷し中華にしようかな……」
「あ、今日は綾里が夕食当番だっけ」
居候の身である綾里は、従妹であるとはいえ何もしないのは悪いからと 奈々と交代で家事を分担している。
「綾里の料理は絶品だからな、楽しみだぞ」
塀の上を歩くリボーンがニヤリと笑った。
「ふふ、そう言ってもらえて嬉しい―――」
「ここ、こんにちはっ!!」
不意にポニーテールの少女が飛び出して来た。
綾里は「あっ」と驚くと、嬉しそうに笑う。
「貴女は―――ハルちゃん!」
「はい、三浦ハルです!(私のこと覚えててくれたんだーっ)」
ハルは感激のあまり頬を赤く染め、喜びを噛み締めた。
それを見た綱吉はピクッと眉を顰める。
「……綾里の知り合い?」
「うん、前にケーキ屋さんで知り合ったの!」
「へぇ……」
……京子ちゃんといい、ビアンキといい、この様子じゃコイツも危ないぞ?
ハルを警戒する綱吉。
しかしそれはすぐに杞憂に終わる。
「ハル、ずっと綾里ちゃんとお友達になりたくて、それで……」
もじもじと恥ずかしそうに制服のスカートをいじるハルに綱吉は「なんだ友達ね」とホッ、と安心した。