第7章 標的7 夢見る乙女
私には憧れの女の子がいます。
その子とはよく行くケーキ屋さんで出会いました。
「「このミルフィーユ、ください」」
「「!」」
2人の少女が苺のミルフィーユを指さし、見事にハモる。
しかし運の悪い事にケーキは残り1つしかない。
(譲ってあげたいんですけど、今日はハル感謝デー……できればハルが食べたいです)
ポニーテールの少女―――三浦ハルが困っていると、それを見たチェリーブラウンの髪の少女が にこりと微笑んだ。
春の陽だまりのような優しい表情に 同性ながらもハルは見惚れてしまう。
「このケーキ、貴女が買って」
「はひっ、いいんですか!? 貴女だって買おうとしてたのに……」
「私はいいの。ここのミルフィーユが大好きな人に食べてもらった方が作った人も嬉しいと思うから」
「それじゃあね」と少女は軽く手を振ると、店を出て行こうとする。
ハルは慌てて呼び止めた。
「あの! 私、三浦ハルっていいます!」
「!私は、いのり綾里。 よろしくね、三浦さん」
「そんな、ハルでいいです!」
力一杯言うハルに綾里はクス、と笑う。
「 (元気で可愛い子だな) また会えるといいね、ハルちゃん!」
「!!(その笑顔反則です……!) はい、綾里ちゃん!」
そうして2人は別れた。
ハルは綾里の後ろ姿を見送ると、しばらく余韻に浸る。
「素敵な子です……決めました! ハル、綾里ちゃんとお友達になります!!」
ぐっ、と握りこぶしをつくるとハルは固い決意をしたのであった。