第6章 標的6 ポイズンビューティー
むしろお前が食べたくなる。
危険な領域に踏み込みそうな彼。
するとそこへ……
「積極的だなオイ!」
「グハッ!!」
「つ、綱吉っ!?」
山本は綱吉に小突くどころか、タックルをかました。
さすが野球部、その威力は強力だ。
綱吉は床にベチャッと倒れ込んでしまった。
「……山本ォ、何しやがるんだ、え゛?」
綱吉が地を這うような声を出すが、どうした訳か山本は怯えるどころか、
ハハッ、と黒く笑った。
「あん時言ったろ? 『オレも負けないぜ』 って(綾里に色目使ってんじゃねぇよ)」
「!! (コイツ……!!) 」
「10代目、大丈夫ですか!? んの野球バカ!! よくも10代目を……っ」
ああ、もう、面倒くさい奴等だな、オイ。
「お前等、ちょっとコッチ来い!!―――綾里、すぐ戻るから待ってて?」
「う、うん、分かった!」
綱吉は山本と獄寺の首根っこを掴むとズルズルと教室の片隅へ連れて行く。
3人はしゃがみ込むと円陣を組んだ。
「ど、どうしたんですか、10代目?」
「お前等、綾里が持っているおにぎりをよく見ろ」
「!!……何だか、もの凄く見覚えがある気が……っ(アネキとかアネキとかアネキとかアネキとか)」
青褪める獄寺。
「あれ? さっき綾里が持ってたのと違うな」
「いつの間に変わったんだ?」と山本は首を傾げる。
綱吉は真剣な表情になった。
「オレ達は奴に試されているんだ」
「……奴?」
「何を試されてるんですか?」
「オレ達が、綾里を愛する資格があるかどうか」
「「!!」」
山本と獄寺はごくり、と息を呑んだ。