第6章 標的6 ポイズンビューティー
「ちゃおっス ビアンキ」
ビアンキは、中に入るとすぐさまリボーンの元へ駆け寄る。
「リボーン、あの子は!?」
「オレの後ろにいるぞ」
ビアンキはバッと勢いよく彼の後方を見る。
そこには吃驚した様子の綾里がいた。
綾里は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「ビアンキさん、お久しぶりです!」
「ああ、私の可愛い綾里! 会いたかったわ!!」
ぎゅむ、と綾里を抱きしめるビアンキ。
綾里は照れたように笑った。
衝撃の事実に ぽかんと固まる綱吉。
けどすぐに回復して、リボーンに問い詰める。
「ねぇ、リボーン、アレは何っ!?」
抱き合う2人を指さす綱吉。
「あいつは 毒入りの食い物を食わすポイズンクッキングを得意とする毒サソリ・ビアンキっていうフリーの殺し屋だ―――何で2人は知り合いかっていうと、オレと綾里が出会った時にビアンキもその場に居合わせたからだぞ。ビアンキはオレの愛人だったんだが……いつの間にか綾里を狙う恋敵になった」
「なんでそうなるんだよっ!?」
「綾里、喉が渇いたわ」
「それじゃあ私、飲み物持ってきます!」
ビアンキはパタパタと駆けていく綾里を優しげに見送ると、綱吉の方に視線を向けた。
「リボーンは綾里に恋した瞬間、全ての愛人と手を切ったの……もちろん私ともね。その時は嫉妬で狂いそうだったけど、あの子の存在が私に本当の愛に気づかせてくれたのよ!!」
熱の籠った目で語るビアンキの背景には今にも大量の赤い薔薇が咲き誇りそうだ。
禁断の領域に入りそう……というか、もう入りまくっている彼女に綱吉は大いに慌てる。
「っちょ、アンタ女でしょっ!?」
「そんなもの、愛の前では関係ない!……実は弟と結婚させて綾里を義妹にしようかとも思ったんだけど、断然私が夫になった方がいいわ!」
断然よくないだろ!!
張り切るビアンキに綱吉は頭痛がしてきて頭を抱え込んだ。
リボーンは綱吉の肩をぽんぽんと叩く。
「ツナ、諦めろ。 ああなったあいつはもう誰にも止められねぇ……お前と張り合えるくらいにな」
綱吉は気が遠くなるような気がした。