• テキストサイズ

青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第5章 標的5 入ファミリー試験?


笑いあう3人を 遠く離れたバルコニーのような場所から1人の男子生徒と赤ん坊―――獄寺とリボーンが様子を窺っていた。

(ちくしょ――野球野郎!!10代目と綾里さんに馴れ馴れしくしやがって!!)

眉間に皺を寄せ、手に持っていた煙草の箱をグシャァと握り潰す獄寺。
明らかに山本は綾里に好意を持っているではないか。
自分が留守にしていた間にライバルが増えるとは思っていなかった獄寺は思わず不満を口にした。

「しかも綾里さんを呼び捨てにするなんてッ」
「ならお前も呼び捨てにすればいいじゃないか」

リボーンの言葉に獄寺は 「うっ」 と頬を赤く染める。
どうやら今まで異性に恋愛感情を抱いたことがない彼は、初めての経験に戸惑っているようだ。

『いいえ! 貴女のような高貴なお方を呼び捨てになんて恐れ多い!!』

―――彼女と出会ったあの日 ああ言ってしまったが、本当は呼び捨てにしたかった。
自分だって彼等のように 『綾里』 と呼びたい。

(綾里、綾里、綾里)

彼女の名前を呪文のように連呼する獄寺。
心の中では言えるのに、どうして好きな子を目の前にすると駄目なのだろう?
いや、今日こそは絶対に呼んでやる!!
彼は決意したように口を開いた。

「綾里―――」

そう言いかけた時、偶然にも綾里が後ろを振り向く。
獄寺の存在に気付いた彼女は、にこりと微笑むと 「また後で教室でね」 とでも言うように軽く手を振った。

「さん―――クッ、駄目だ呼べねぇッ!!」
「ヘタレめ」

リボーンの辛辣な言葉に 「グハッ!!」 とダメージを受けた獄寺は手摺にぶらーんとぶら下がった。

「リボーンさん、本当にあいつをファミリーに入れるつもりですか?」
「つもりじゃなくもう入ってるぞ。 オレが決めた」

きっぱり言うリボーンに ガーンとショックを受ける獄寺だったが、めげずに言った。

「考え直してくださいリボーンさん!! オレはあんな無礼な奴を入れるのは反対です!!」
「けどな、山本は綾里に必要な存在なんだぞ……獄寺、お前もな」
「……リボーンさん?」

急に真剣な顔で呟いたリボーン。
獄寺は言葉の意味が分からず問い質そうとしたが、彼は

「うがっ」

スピーッ と鼻ちょうちんを膨らませて眠っていた。
/ 148ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp