第4章 標的4 おませさん
ジリジリと壁際にランボを追い詰める綱吉。
ランボは、「が・ま・ん」と言いながらも、恐怖で涙を溜め鼻水をたらしている。
「綱吉!この子凄く怖がってるよ、もう許してあげて。ケーキならまた焼いてあげるから!」
「だからお願い!」と、綱吉の背後にぎゅっと抱きつく綾里。
潤んだ彼女の瞳に綱吉は、キュンと胸が高鳴った。
見る見る漆黒のオーラが浄化される。
綱吉は、まだ5歳の子供に対して大人げなかったなと反省した。
綾里は、しゃがみ込んでしまったランボの所まで歩いて行くと、小さい彼の目線に合わせるように膝立ちになった。
まるで母親のような優しい口調で話し掛ける。
「私、綾里っていうの。ランボ君、怖がらせてごめんね。 でも、危ないからもう窓ガラス破って入って来ちゃ駄目だよ?今度遊びに来る時は玄関から―――約束できる?」
「う、うん……」
「ランボ君はいい子だね」
「!」
素直に頷いたランボに、綾里はにっこりと微笑み ランボの頭を撫でた。
綾里の笑顔を目の当たりにしたランボは、ぽけ~っと綾里を見つめる。
彼は何を思ったのか、綾里のほっぺにチュッとキスをした。
「綾里、オレッちの およめさん にしてやってもいいぞ!」
「ふふ、じゃあ、ランボ君が大人になったら私をもらってくれる?」
「ランボさんが綾里を 世界一幸せなおよめさん にするんだもんね!!」
顔を真っ赤にしながら張り切るランボがなんとも微笑ましい。
子供の言うことだと、いのりは受け流したが、他2名がそうは思っていなかった。