第4章 標的4 おませさん
「つ、綱吉、はい……あ、あ~ん……して?」
「う、うん。あ、あ~ん……」
互いに真っ赤になってしどろもどろになる綾里と綱吉。
そんな2人をリボーンは面白くなさそうに見ている。
綾里にケーキを食べさせてもらうことになった綱吉は、ようやく正常に戻ったようだ。
あとちょっとでケーキが綱吉の口に入る―――そんな矢先だった。
「きゃ、な、何っ!?」
「ッ!? 綾里ッ!!」
「……チッ (余計なのが来やがった)」
突然、割られた窓。
そしてそこから侵入してきた何者かの影。
ガラスの破片から守るように綱吉は ぎゅっと綾里を抱きしめる。
リボーンは面倒くさそうに顔を顰めた。
「綾里、どこも怪我してないっ!?」
「大丈夫、庇ってくれてありがとう。
―――あ、ケーキが……」
「……っ」
綱吉が目を向けると、そこには悲惨なケーキの姿が。
綾里が手に持っていたフォークのケーキは床にべちゃっと落ち、残りのホールの方はガラスの破片が飛び散っている。
とてもじゃないが食べられる状態ではなかった。
あれだけ頑張って、やっと食べられると思ったケーキだったのに……!
こちら側の事情を露知らず、不法侵入してきたのは―――牛柄の服を着て、アフロ頭に2本の角を生やした子供だった。
その子供はガハハハハと大声で笑い出す。
「イタリアから来たボヴィーノファミリーのヒットマン ランボさん5歳、参上だもんね!!大好物はブドウと飴玉で―――」
「そのアフロ、むしり取られたいの? むしり取られに来たんだよね?よし、丸ごとブチ抜いてあげる」
「!?!?」
満面の笑みで恐ろしい事を言い出す綱吉。
笑いながらも 「何てことしてくれやがったんだ、あ゛?」 と、目が語っている。
綾里が怪我をするかもしれなかった+彼女のケーキを食べ損ねた事で、彼の怒りは頂点に達したようだ。
リボーンを暗殺しに来たのに、まさか弟子の逆鱗に触れると思ってもいなかったランボは、綱吉のあまりの形相にただ怯えるしかなかった。