第4章 標的4 おませさん
「は、はい、アナタ……あ、あ~ん……」
フォークにさしたケーキをリボーンの口の前に運ぶ綾里。
口にしたショートケーキは、リボーンの舌をうならせるほど上出来なもので。
リボーンは4口目になるそれを満足そうに咀嚼した。
「美味いな、―――さすがオレの妻だ」
「あ、アナタに喜んでもらえて嬉しい……」
リンゴのように赤く頬を染め微笑む綾里は、まるで初々しい新妻のように見える。
それを目の当たりにした綱吉は堪らなくなって叫ぶように言った。
「1!! この答えは1ッ!!!」
「はずれだぞ……残念だったな」
「ッ!!」
リボーンがニヒルに笑った。
心底悔しそうにギリッと歯を食いしばる綱吉。
―――リボーンが提案した新しい勉強方法とは、綱吉が解答を間違えると綾里とリボーンが 【新婚さんごっこ】 を始めだすというものだった。
ちなみに綱吉が正解すると、代わりに綱吉が綾里に 『あ~ん』してもらえる。
間違える度、好きな子が他の男(相手は赤ん坊だが)とイチャイチャし出すなんて……
気が狂いそうだよ、オレッ!!!
まさにリボーンが言った通りになった。
今まで以上にプリントの問題に集中する綱吉。
リボーンのやり方は相変わらず無茶苦茶なものだが効果はあったようだ。
今の綱吉の目はマジだ、むしろその目にはもうリボーンに対する殺意すら籠っている。
そんな綱吉を余所にリボーン達の新婚さんごっこが再開した。
「綾里の作るケーキは世界一だ―――他に食べたいものがあるんだが、いいか?」
「何、アナタ?」
「綾里、お前が食べたい」