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青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第3章 標的3 野球少年


綾里が思い出したように言った。

「山本君、約束のお菓子あげる」
「お、今あるのか?」
「うん。……ただ、ポケットに入れたから潰れちゃってるかも……」
「そんなの気にならないのな! いのりが作ったものなら、どんなんでも嬉しいからさ!」

さらりと笑顔で言う山本に綾里は恥ずかしそうに頬を染める。

「ありがとう。ちょっと待っててね―――あ、あれ? ない……」

制服の右ポケットに確かに入れておいた筈の物がなかった。
どこかに落としてしまったのだろうか?
ガトーショコラはあれで最後なのに……

「約束したのに、ごめんなさい……」

顔を曇らせ俯く綾里に 山本が頭をくしゃくしゃと撫でた。

「気にすんな、また作ってくれればいいしさ!―――そうだ、オレの事さっきみたいに 『武』 って呼んでくれよ」
「あ、あれは、夢中で……」
「オレお前に名前で呼ばれてスゲー嬉しかった。オレもお前の事 『綾里』 って呼びたい」
「う、うん! 武!!」
「っ!?(また、だ……)」

自分の名前を呼びながら照れたように笑う綾里を見て山本の心臓がドクン、と高鳴る。
それは昨日感じた切ない痛みではなく、じわりと広がるような熱い鼓動だった。
何故だろう、無性に彼女を抱きしめたい。
山本が綾里に触れようと片手を伸ばそうとした その時だった。
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