第3章 標的3 野球少年
「そうだ、帰ったらガトーショコラ焼いてあげる! 美味しいもの食べて嫌な事なんて吹き飛ばそう!」
「やった!(綾里のお菓子、美味いんだよな~)」
そうなのだ。
実は綾里はスイーツ部という 【お菓子を作って女の子同士でお茶会をする】何ともまあ乙女チックな部活に入っている。
入っている、というよりは入らされたと言った方が正しい。
綾里は幼い時に母親を亡くしたせいか、奈々から積極的に家事を学んでいるので料理やお菓子作りがとても上手い。
それに惚れこんだ部長が綾里をスカウトしたのだ。
綾里は自分が作ったものを人に食べてもらうことが好きらしく、家で焼いたクッキーをクラスメイト達に配っていたのはつい最近のことだ。