第3章 標的3 野球少年
体育の野球の試合。
また自分のせいでチームが負けてしまった。
いつものように面倒事であるトンボがけを押し付けられ、当たり前のように綾里が手伝ってくれる。
「綾里、ほんとごめん!」
「平気、平気! 1人より2人でやった方が早く終わるでしょ?」
「気にしないで!」と笑う綾里に安心する綱吉だったが、同時に情けなくなってしまう。
好きな子にこんなカッコ悪いところ見せたくないのに……。
そんな落ち込み具合が顔に出ていたのか、気づいた綾里が優しく微笑んだ。
「最近の綱吉、凄く頑張ってる。 でも綱吉は綱吉のペースで……ね?」
「綾里……ありがとう」
リボーンという家庭教師が来て、獄寺というファミリー (ファミリーという点ではまだ納得できてないが) ができて。
その2人が自分と同じように綾里を狙う恋のライバルになってからというもの、綱吉は苦手な勉強を少しずつだがするようになった。
少しでも綾里に相応しくなりたいから。
当の彼女は鈍いから、恋の為だなんて気づいてないんだろうな。
でも好きな子が気にかけてくれることがとても嬉しい。